家計見直しの実践例
このページでは、AP資格を持ちながら、多重債務(個人再生や自己破産の申し立て)に陥られる家計を拝見してきた司法書士の視点から、家計見直しの実践例をまとめています。目的は、「家計の破綻を防ぐため」です。
「家計見直しの総論」のページでも書いておりますが、家計の見直しを目先の問題と考え、「節約・節約」と思っていると、ストレスが溜まり、長続きはしません。
お金に対する考え方、自分なりの考え方を持って、できる対策を取る。あとは自分で決めた小遣いの範囲内で、自由に生活を楽しむ。こんな感覚が必要なのではないかと考えています。
固定費と変動費
家計見直しの具体的なポイントは、「固定費の見直し」。
固定費とは、住宅ローンを含む住居費、生命保険料、自動車関連支出(駐車場代・自動車保険)、教育費、携帯代(特に通話料金以外の部分)です。

家計支出の中で大きな比重を占めているのは、毎月出ていくことが決まっている「固定費」です。
固定費を見直すことができれば、その分、継続して支出削減の効果が見込めます。 固定費は「一度見直してしまえれば、次の月からは気にしなくていい」というメリットもあります。
住居費(住宅ローン借り換え)
住宅ローンの借り換え」とは、新しく住宅ローンを契約すると同時に、今借りている住宅ローンを返済することです。
借り換えのメリットには、諸費用もかかります。金利軽減の効果を受けられる「一般的な条件」として、
- 住宅ローン残高が1,000万円以上あること
- 返済期間が10年以上残っていること
- 借り換えによる金利差が1%以上あること
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の3つがあると言われていますが、この条件に当てはまらない場合でも、金利軽減の効果を受けられることはあります。
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ボーナス返済あり」から「ボーナス返済なし」への変更については、借り換えではなく、「返済条件の変更」。
現在借りられている金融機関に相談して下さい。
生命保険・医療保険の見直し
保険は、「不動産の次に高い買い物」と言われます。
しかし、カードで生活費を補いながら、一方では、医療保険料、生命保険料をたくさん払っておられる家計もあります。
勧められるがままに契約した保険もあるでしょう。
しかし、 「万が一」に備えのために、「今の生活」に支障が出るのは問題です。
1.保険の保障に重複はないかどうか
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複数の医療保険に入っている場合、保障がかぶっていないかどうか中身をチェック。
(例)A保険で、入院日額 5,000円
B保険で、入院日額 10,000円 など |
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高額療養費や傷病手当の制度もある中、今契約している保障額が必要かどうか、改めて検討。複雑な特約についても、要否を検討してみて下さい。 |
2.保険料の支払総額から考える
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毎月、数千円から数万円の保険料の支払いも、20年30年の支払総額で考えると、高額な買い物になります。どの部分が掛け捨てになって、どの部分が貯蓄代わりに使えるのか、一度整理してみて下さい。 |
3.死亡率から考える
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死亡率は、人口と死亡者数の割合から、「死亡する人の割合」を計算したものです。
不慮の事故もありますので、「自分が亡くなる可能性」を考える時、確率論で考えるのは難しいですが、生命保険を契約される際に、押さえておきたい数字です。
ここでは、「家計の大黒柱」として、生命保険の対象にされることが多い『男性』に絞って数字を出しています。
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人口10万人あたりの死亡者数/年間 |
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死亡率 |
30〜34歳男性 |
60.6人 |
40〜44歳男性 |
115.4人 |
50〜54歳男性 |
303.0人 |
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40歳まで生存する割合(男性)−98.4%
65歳まで生存する割合(男性)−89.5%
75歳まで生存する割合(男性)−75.6%
90歳まで生存する割合(男性)−26.5% |
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(いずれも、厚生労働省平成30年簡易生命表から抜粋) |
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★アドバイス!
必要な保障額は、そのご家庭によって、また同じご家庭でも時期によって異なります。
一度契約した保険はそのまま、また、定期保険であれば自動更新ではなく、時期に合わせて見直しをしていく、ことが重要です。
- 子どもさんが社会人になられていたり、独立が済まれた後は両親の負担が軽くなるので、必要保障額は年々下がっていく。
- 退職金があれば、その分必要保障額はカットできる。
- 奥さんの勤務状況によっても異なる。
奥さんが正社員で共働きであれば、その分収入を見込めるので、必要保障額をカットできます。
- 自己所有の不動産で、住宅ローンに団体信用生命保険が付加されていれば、死亡後の住宅ローンの返済は免除されます。
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自動車関連支出(車両費の見直し)
自動車を「生活必需品」だと考えられる方も多いです。
「車がなければ生活ができない」です。
一方では、所有するだけで付随する支出が増えていく意味では「贅沢品」。 また「消耗品」でもあります。最近では、「レンタカー」「カーシェア」を利用することで、あえて「車を持たない」生活を選ばれる方もおられます。
自動車を保有することで、車両本体代は別としても、付随して出ていく出費がたくさんあります。
- 駐車場代 (例)月10,000円×12か月で年間12万円。
- 自動車保険代 (例)年間10万円程度。
- 車検代 (例)年あたり4万円程度。
- 自動車税 (例)年間4万円程度 合計30万円/年間
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見直し方法としては、下記の方法が考えられます。
いずれも痛みを伴う(不便になる)のは間違いないことですが、生活費の節約の手段として考えて下さい。
- 夫婦で合計2台所有しているのを、1台にする。
- 自動車ローンを組んで所有している車を売却し、ローンは返済。
安い自動車に乗り換えすることで、今後の毎月のローン返済をなくす。
- 車を手放し、いざという時はレンタカーやカーシェアを使う、と割り切る。
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教育費
教育費の中でも、特に塾代や習い事等の学校外教育費。
現在通われている習い事をすぐに辞めるのは難しい、のは当然のこととしても、万が一、教育費のためにマイホームを失わないといけないとなると、子供さんに悪影響を及ぼすのは確実です。
・親としてできるだけのことをしてやりたい
・周りの子と同じようにしてやりたい
そういうお気持ちは否定できませんが、『バランスを考えながら』という感覚が必要です。
通信費
通信費の中でも、特に携帯電話代。
中でも、携帯電話の通信費自体よりも、機種代であったり、ネットの接続料、タブレット代などが積み重なると、金額が大きくなります。
今は、携帯会社の立て替えサービスを使って買い物ができたりしますので、携帯会社への支払いだけで数万円となっているご家庭も少なくありません。
★家計の危機管理!…クレジットカードの使い方
●クレジットカードの支払いは、一括払いで
クレジットカードは、手元に現金がなくても買い物ができ、しかも支払いは先に伸ばすことができて、とても便利なものです。ポイントを貯めることを目的に使っている方もおられるでしょう。
しかし、法的な債務整理である個人再生や自己破産の手続きに至る方のうち、クレジットカードで「ついつい収入以上の買い物をし過ぎた」ことがきっかけで、その支払いが困難になった方は、相当な割合でいらっしゃいます。クレジットカードを使い始めた時には、「返せなくなる」ことが予測できないのです。
「収入以上の買い物」は、カバンや服、電化製品等、比較的高価な商品に限らず、日常のスーパーでの買い物でも起こり得ます。
また、「翌月一括では厳しいからリボ払いに」となった時点で、将来に支払いのツケを回すことになります。クレジットカードでの決済を使う場合も、口座に残高がある範囲で。「翌月一括払い」での決済は崩さないようにしましょう。
●クレジットカードを作り過ぎない
あちこちのお店で提携しているクレジットカードの勧誘がある時代です。
「ポイントがつくから」ということで、ついついカードを作り過ぎてしまった。
便利なカード払いに頼ってしまった結果、いつの間にか支払いができなくなるくらい、残高が増えてしまった、という方も少なくありません。
多重債務に陥られる方の傾向として、一昔前は「消費者金融での借金がかさんだ」というご事情が多かったですが、最近では「ショッピングでカードを使い過ぎた」というご事情の方が増えています。ショッピングの場合、「年収の3割以上貸してはいけない」といった規制がないためです。
当事務所の家計相談(相談フォーム経由限定)
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ご自身で家計見直しのご判断が難しい場合に、多くの家計を拝見してきた当事務所が、第三者の目で客観的なアドバイスをさせていただくことも可能です。住宅の取得や債務の整理に限らない家計相談です。
料金は、22,000円です。
事務所にてお客様のお話しをお聞きした後(1時間程度)、後日、現在の家計状況の分析・改善点の提案をし、レポート(A4−2枚程度)にまとめます。
お客様には、最低限、ダウンロードのページにある「「家計かんたん計算シート」の作成をお願いしています。給料明細や通帳等の資料のご用意と、ご家族の年齢を教えていただくことで、より詳しいご提案ができます。
■「家計相談」は、細かなやり取りをする必要性から、『相談フォーム』経由のご依頼限定とさせてもらっています。
ご質問やお問い合わせも、『相談フォーム』からお願いします。
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「家計見直し」の関連ページ
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家計見直しの総論 |
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住宅ローンの返済が厳しくなった時、カードローンに頼る前に、家計支出(特に固定費)の見直しをお勧めしています。 |
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駅前ロータリー(大阪信用金庫と餃子の王将側)を出て、ソフトバンクショップ手前の筋を右折。60m程で着きます。
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